被告が行方不明の裁判(公示送達)

 訴状等の送り先(送達場所)が不明なため、滞納者に対し送達書類を届けることができない場合に、裁判所の掲示だけで 「滞納者に訴状が届いたもの」と同じ効力を持たせる公示送達制度についてたまに問い合わせがあるのでちょっと触れてみたいと思います。

 

 裁判所書記官が送達書類を保管し、いつでも滞納者に交付する旨を裁判所の掲示板に掲示し、 その日から2週間が経過することで書類が送達されたと同じ効力が生じます。

 

ただし、この「公示送達」をおこなうには、当事者の住所、居所その他送達をすべき場所が知れないという要件を満たすことが必要です。

 

 これは、現住所や転居先と思われる場所および勤務先について調査したが判明しなかったことを証明すれば、 公示送達の要件を満たすと考えてよいでしょう。

 

 実際には、公示送達をおこなう場合、公示送達の申立てをおこない、 送達場所が不明であるという判断の資料を裁判所に提出することとなります。

 

その際の判断資料とは、当事者(管理組合)が調査をおこなった報告書などをいいます。

 

調査報告書には、調査の方法(調査者、調査場所、調査日時、第三者に面接して調査した場合には、被面接者の住所、氏名、面接内容) およびその結果を記載することになります。

 

 送達の効力が生じることにより、相手方は訴訟の呼出しを受けたことになり、相手方が欠席しても判決を得ることができます。ただし、 支払督促や少額訴訟は公示送達によることができません。

 

司法書士 吉田

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